National Farm Worker Ministry: Mobilizing Support for Migrant Workers, 1939-1985
米国南西部における移民農業労働者が極めて深刻な貧窮状態に置かれていることを明らかにした調査結果が公表されたのを受けて、1920年にプロテスタント教会系のカリフォルニア移動牧師団(California Migrant Ministry)が創設されました。カリフォルニア移動牧師団は食糧、医療、育児、健康、スポーツ等、移民労働者向けに様々な支援活動を行ない、学校と親の仲介機関として活動しました。その活動はカリフォルニア州以外にも拡大し、1939年までに15の州で労働者の権利と支援プログラムを確立するまでに至りました。1960年代、セサール・チャベス会長率いる全国農業労働者連合が季節移動農業労働者の組織化を進め、カリフォルニア州デラノで葡萄農園労働者のストライキが発生した時、移動牧師団は労働者と連携し、支援ネットワークを構築しました。1971年、移動牧師団は組織を全国化するために全米農業労働者牧師団に改称し、平等と自由と公正のために労働者の組織化を推進し、農業労働者を支援することを新たなミッションとして再定義しました。
本データベースは、カリフォルニア移動牧師団(全米農業労働者牧師団)が残した文書を電子化し提供するものです。報告書、会議議事録、ニュースレター等の収録文書は、労働者の組織化、労働者保護法制の推進、労働者のストライキ支援、教育、医療、職業訓練、有権者登録等、移動牧師団の支援活動を記録します。デラノの葡萄農園ストライキ、メキシコ人農業労働者を米国に導入するために米国政府が推進したブラセロ計画に関する資料も収録されています。この文書は、ミシガン州のウェイン州立大学のウォルター・ルーサー記念図書館(Walter P. Reuther Library.)が所蔵する労働・都市問題関係文書集の一部です。米国では伝統的に宗教団体が福祉活動の重要な担い手として機能してきましたが、本データベースは信仰に基づく団体(faith-based organization)である全米農業労働者牧師団の活動を通して、米国における宗教団体の社会奉仕活動の一端に光を当てます。