Overland Journeys: Travels in the West, 1800-1880
本コレクションは、アメリカ西部開拓者が残した記録を提供するもので、マイクロフィルム版『西部と南西部旅行記(Travels in the West and Southwest)』から約300巻を精選しています。タイトルの選定に際しては、『プレーンとロッキー:アメリカ西部における探検、冒険、旅行書誌 1800年-1865年(The Plains and Rockies: A Critical Bibliography of Exploration, Adventure, and Travel in the American West, 1800-1865)』と『西部への街道:アメリカ西部街道書誌索引 1841年-1865年(The Trail West: A Bibliography-Index to Western American Trails, 1841-1869)』を参考にしています。
19世紀のアメリカ西部の開拓者たちにとって、フロンティアの地を目指す旅は素晴らしい冒険でもあり、悲惨な試練の場でもありました。最初は幌馬車が移動の手段だったのが、時代が下るにつれ、蒸気船や駅馬車に変わり、鉄道が敷かれると、移動の速度は増します。開拓者たちは、ミズーリ州のインディペンデンスやセントジョセフ、アイオワ州のカウンシルブラフスに集まり、これらの都市から伸びる街道を西へ向かい、街道が合流するネブラスカ州の中央部を経て、プラット川、ノースプラット川、スウィートウォーター川に沿って進み、ウィンド・リバー・レンジの南にある大陸分水嶺を越えます。大陸分水嶺の西側でオレゴン街道(トレイル)からモルモン街道が分岐し、南西方面をユタ州のグレイト・ソルトレークに向かいます。オレゴン・カリフォルニア街道の主要ルートはアイダホ州のフォート・ホールを目指し、北西部へ進みます。フォート・ホールの西部で、オレゴン街道から枝分かれして、カリフォルニア街道の主要ルートが南西部方向をネバダ州へ向かうと、ハンボルト川沿いの先にシエラネバダがあります。オレゴン街道の主要ルートを進み、スネークリバー平原とブルーマウンテンを越えると、その先にウィラメット渓谷があります。オレゴン街道は1810年代に遡る西部最古の街道の一つで、1840年代には宣教師マーカス・ホィットマン率いる幌馬車隊も、ブリガム・ヤング率いるモルモン教徒も、この街道を進みました。カリフォルニア街道が盛んに使われるようになったのは1848年の金鉱発見以後です。歴史家によれば、初期の幌馬車隊から1869年に大陸横断鉄道が敷設されるまでの期間にこれらの街道を使って西部開拓した人々は50万人におよぶと見られています。2,000マイルに達するこれらの街道を1日15マイルのペースで進み、全行程の踏破には数ヵ月を要しました。水や燃料が不足する厳しい条件の中で人々は街道を進み、コレラ等の伝染病で命を落とす人も多く、10人に1人が亡くなったと推定されています。西部の街道の記憶はアメリカのフォークロアの中で伝承され、アメリカ人の心性の形成に大きな影響を及ぼしました。
《収録タイトル例》
◆西部全般
- ジョン・エラスタス・レスター『大西洋から太平洋へ』(1873)
- ディマス・バーンズ『大西洋から太平洋までの大陸横断:一連の書簡』(1866)
- モーゼス・キンボール・アームストロング『大西部帝国の初期建設者たち』(1901)
- C・W・デイナ『世界の庭園、あるいは大いなる西部:その歴史、富、自然美、未来』(1856)
- フェルディナンド・ヴァンデヴィア・ヘイデン『大いなる西部:その魅力と資源』(1880)
- J・ロバート・ブラウン『1856年のミズーリからカリフォルニアへ至るアメリカ平原を横断する旅日誌』(1860)
- エリーザー・スティルマン・インガリス『1850年から1851年の平原を越える大陸横断ルートでのカリフォルニアへの旅日誌』(1852)
- フランク・ルクヴルール『東プロシアからゴールデンゲートへ』(1906)
- カール・ケーラー『アメリカからの書簡』(独語)(1854)
- バルドウィン・メルハウゼン『ミシシッピから太平洋沿岸までの旅日誌』(全2巻)(1858)
- イスラエル・ヨーゼフ・ベンジャミン『アメリカの三年 1859年-1862年』(全2巻)(1862)
- サラ・レイモンド・ハーンドン『路上の日々:1865年に平原を横断する』(1902)
- ジョージ・アームストロング・カスター『平原のわが生涯、あるいはインディアンとの個人的経験』(1874)
- エセルバート・タルボット『我が平原の民』(1906)
- サミュエル・ボールズ『我が新しき西部:ミシシッピ川と太平洋間の旅行記』(1869)
- ジョン・マラン『フォート・ワラ・ワラからフォート・ベントンまでの軍用路建設に関する報告』(1863)
- A・J・アレン『ロッキー山脈と極西におけるイライジャ・ホワイト博士のスリルに満ちた冒険、旅行、探検』(1859)
- フレデリック・マリエット『西部の大平原のスネークインディアンと野生の部族におけるヴィオレ氏の旅行とロマンチックな冒険』(全3巻)(1843)
- トマス・ジェファーソン・ファーナム『西部の大平原の旅行』(1841)
- ハイラム・マーティン・チッテンデン『アメリカ極西の毛皮貿易:初期交易所、ミズーリ渓谷とロッキー山脈の初期毛皮会社、サンタフェとの陸上交易の歴史』(全3巻)(1902)
◆カリフォルニア
- ジョン・フロスト『カリフォルニア州の歴史:スペインの征服期から合衆国による占領まで』(1850)
- F・M・プラット『カリフォルニア金鉱地域:その鉱物資源、現地への行き方、費用、時間、様々なルート、居住者の生活、習慣、習俗を漏れなく解説する』(1849)
- アーネスト・サイド『カリフォルニアとその資源:商人、資本家、移民のための案内』(1858)
- C・W・ハスキンズ『カリフォルニアの金鉱探検者:初期採掘時代にカリフォルニアで起こった出来事の回想』(1890)
- ジョージ・ワシントン・ペック『オーリフォディナ:金鉱地域での冒険』(1849)
- マーシャル・P・ワイルダー『カリフォルニア』(1871)
- デヴィッド・スター・ジョーダン『カリフォルニアとカリフォルニア人』(1903)
- セオドア・T・ジョンソン、サミュエル・P.サーストン『カリフォルニアとオレゴン』(1865)
- フランク・レスリー『カリフォルニア:ゴサムからゴールデンゲートへの楽しい旅』(1877)
- アルバート・ライマン『カリフォルニアへの旅と金採掘の日々の日誌』(1852)
- ウィリアム・H・トマス『カリフォルニアの今と昔:ボストンとゴールデンゲート間の大陸横断の旅』(1887)
- ジョセフ・スミートン・チェイス『カリフォルニア沿岸街道:メキシコからオレゴンへの騎馬行』(1913)
- ジョセフ・スミートン・チェイス『カリフォルニア砂漠街道』(1919)
- ジョージ・ウォートン・ジェイムズ『旅行者のための南カリフォルニア案内』(1895)
- チャールズ・ノードホフ『健康、悦楽、住居のためのカリフォルニア』(1882)
- W・W・アレン、R・B・アヴリー『カリフォルニアの金:最初の金塊、その発見と発見者、その帰結』(1893)
- フィリップ・レゲット・エドワーズ『1837年のカリフォルニア:エドワーズ大佐の日記、太平洋沿岸への旅の解説を含む』(1890)
- エリザ・ウッドソン・ファーナム『カリフォルニア:黄金の州でいかに耕作し、採掘し、生きるか』(1856)
- ヘンリー・ヴィール・ハントリー『カリフォルニア:その金と住民』(全2巻)(1856)
- ウィリアム・M.ブリストル『カリフォルニアーナ』(1901)
- チャールズ・B・タリル『カリフォルニア覚書』(1876)
- ウォルター・M.フィッシャー『カリフォルニアの人々』(1876)
- A・E・D・ド・ルパート『カリフォルニアの人々とモルモン教徒』(1881)
- オスカー・ペン・フィッツジェラルド『カリフォルニア素描』(1892)
- トマス・S・チャード『カリフォルニア素描』(1888)
- レナード・キップ『カリフォルニア素描:金鉱の回想録を付す』(1850)
- ロベルト・フォン・シュラーギントヴェイト『カリフォルニア:土地と人々』(独語)(1871)
- ヘルマン・ホフマン『カリフォルニア、ネバダ、メキシコ:ある工科大学生の旅』(独語)(1871)
- カール・リュール『カリフォルニア:その人口、社会、政治、宗教、教育、通商、産業、鉱業、農業ほか』(独語)(1867)
- カール・ゴットフリート・ヴィルヘルム・フォルマー『カリフォルニアとゴールドラッシュ:北米の荒野の西部を旅する』(独語)(1863)
- ハインリッヒ・リーンハルト『金鉱発見前後のカリフォルニア』(独語)(1898)
- テオドール・キルヒホーフ『カリフォルニアの文化像』(1886)
- ジョン・ウェズリー・ブックウォルター『峡谷と火山口:カリフォルニアとサンドウィッチ諸島の景観』(1874)
- トマス・ジェファーソン・ファーナム『初期のカリフォルニア:私がその地で見聞きしたこと』(1862)
- ジョン・ビドウェル『カリフォルニアに関する過去のこだま』(1900)
- D・A・ショー『黄金郷、あるいは、ある開拓者の見たカリフォルニア 1850年-1900年』(1900)
- ジョージ・アダム『カリフォルニアへの大陸横断移民団の恐るべき苦難とスリルに満ちた冒険』(1850)
- イポリット・フェリー『新カリフォルニアの叙述:地理、政治、道徳』(仏語)(1850)
- チャールズ・D・ファーガソン『ゴールドラッシュに加わった者がカリフォルニアとオーストラリアで34年間に経験したこと』(1888)
- ヘンリー・ヴィゼテリー『アルタ・カリフォルニアにおける金鉱発見者たちの間での4ヵ月間:サンフランシスコから金鉱地域への探検日誌』(1849)
- カーク・モンロー『1849年の黄金の日々:金鉱採掘現場の物語』(1889)
- ウィリアム・ショー『黄金の夢と現実の覚醒:カリフォルニアと太平洋の島々に黄金を探し求めた者の冒険』(1851)
- チャールズ・フォスター『カリフォルニアの砂金鉱床:カリフォルニアとオレゴンの土壌、気候、資源』(1849)
- デヴィッド・トマス・アンスティド『金探鉱者マニュアル』(1849)
- キンボール・ウェブスター『1849年の金探鉱者:1849年から1854年までの大陸横断街道とカリフォルニアとオレゴンでの冒険の個人的物語』(1917)
- ジョン・バルー『西部の貴婦人、あるいは金探鉱者たち』(1855)
- M・デュフロ・ド・モルファ『1840年、1841年、1842年に実施されたオレゴン、カリフォルニア、カリフォルニア湾の探検』(1844)
- アルバート・S・エヴァンズ『カリフォルニアへ:黄金の州における生の素描』(1874)
- D・L・フィリップス『カリフォルニアからの手紙:その山岳、峡谷、平原、湖水、河川、気候、産品、さらに1876年に見るその鉄道、都市、町、住民』(1877)
- タイタス・フェイ・クロニーズ『カリフォルニアの自然の富』(1868)
- チャールズ・ロリング・ブレイス『新たな西部、あるいは1867年から1868年のカリフォルニア』(1869)
- ジェイムズ・スティール『古きカリフォルニアの日々』(1889)
- カーライル・スチュワート・アボット『あるカリフォルニア開拓者の回想』(1917)
- J・D・B・スティルマン『金の羊毛を求めて:カリフォルニアにおける開拓者の記録』(1877)
- ジョン・オルムステッド『1868年のカリフォルニアへの旅』(1880)
- メアリー・コーン『カリフォルニアでの二年』(1876)
- 作者不詳『カリフォルニア:世界の宝庫』(1883)
- 作者不詳『カリフォルニアの総て:開拓への誘い』(1871)
- 作者不詳『シンシナティからカリフォルニアへの旅:その起源、発展、出来事、結果:六千マイルの鉄道の旅』(1870)
◆オレゴン・ワシントン
- フランシス・フラー・ヴィクター『オレゴンとワシントンの総て:土地、景観、土壌、気候、資源、改良点の観察』(1872)
- アビゲイル・スコット・ダニウェイ『西部から西部へ:平原を越えてオレゴンへ』(1906)
- ホール・J・ケリー『かのオレゴンと呼ばれる北米の地の地理的素描』(1830)
- アレクサンダー・ロス『極西の毛皮ハンターたち:オレゴンとロッキー山脈の冒険物語』(全2巻)(1855)
- ウィリアム・G・スティール『オレゴンの山々』(1890)
- ジェシー・クイン・ソーントン『1848年のオレゴンとカリフォルニア』(全2巻)(1849)
- A・N・アームストロング『オレゴン:その小史とオレゴンとワシントン準州の完全なる叙述』(1857)
- ウィンダム・ロバートソン・ジュニア『オレゴン、我々の権利と権限:オレゴン準州の状態、その土壌、気候、地理』(1846)
- チャールズ・G・ニコレイ『オレゴン準州:その地の地理と自然と住民』(1846)
- トマス・ダウラー・マーフィー『ピクチャレスク・オレゴン:オレゴンと北部カリフォルニアの荒野漫遊記』(1917)
- ウォリス・ナッシュ『1877年のオレゴン往還』(1878)
- ウォリス・ナッシュ『オレゴンでの二年』(1882)
- ジュリアン・ホーソーン『オレゴン物語:肖像と伝記を交えた歴史』(全2巻)(1892)
- アイザック・インガルス・スティーヴンス『ワシントン準州での定住を希望する移民への回状』(1858)
◆ユタ
- ハワード・スタンズベリー『ユタ州グランドソルトレイク峡谷への遠征』(1852)
- アルフレッド・ランボーン『風光明媚なユタ』(1891)
- ジョージ・ウォートン・ジェイムズ『ユタ、花咲く峡谷の地』(1922)
- ウィリアム・チャンドレス『ソルトレイク訪問:平原を旅し、ユタのモルモン教徒の定住地に滞在する』(1857)
◆ネバダ
- ウィリアム・ライト『大いなる鉱脈:世界にその名を知られたネバダ州コムストック・シルバー・ロードの発見、歴史、採掘の真の解説』(1877)
- ジョン・J・パウエル『ネバダ:銀の土地』(1876)
◆コロラド
- トマス・トンジ『コロラドの総て』(1913)
- ジョン・ウィザービー・ジュニア『コロラド準州と当地の金鉱の素描』(1863)
- フランク・フォセット『コロラド:ロッキー山脈金銀採掘地域に関する歴史的、記述的、統計的解説』(1876)
- ウィリアム・ブラックモア『コロラド:その資源、公園、そして移民の新天地としての展望』(1869)
- アンドリュー・カーライル・カーソン『コロラド:世界の屋根』(1912)
- オーガスタス・アレン・ヘイズ・ジュニア『ニューコロラドとサンタフェ街道』(1880)
- J・T・ライスター『コロラド素描:この新しき黄金郷に関する個人的観察から得られた貴重な情報』(1876)
◆テキサス
- ヴィクトール・コンシデラン『テキサスへ』(仏語)(1855)
- マット・W・アンダーソン『ボーズマン:保養地の案内とその最高の自然美、産業、機会の概観』(刊行期不明)
- H・F・マクダニールド、N.A.テーラー『来るべき帝国、あるいはテキサス2,000マイル騎馬行』(1877)
- テキサス移民・土地会社『麗しき土地、テキサス』(1870)
- J・C・デュバル『初期のテキサス』(1892)
- ウィリアム・ブラディ『テキサス瞥見:その区域、資源、開発、展望』(1871)
- トマス・ノース『南北戦争期におけるテキサスでの五年』(1871)
- フレデリック・ロー・オルムステッド『テキサスの旅、あるいは南西部フロンティア騎馬行』(1857)
- ウィリアム・B・ディウィース『ある初期のテキサス開拓者からの手紙』(1858)
- ジェイムズ・W・パーカー『15年間のテキサス滞在中におけるジェイムズ・パーカー師の危険な冒険、奇跡的な脱出、苦難の物語』(1844)
- ジョージ・H・スウィート『テキサス:その初期の歴史、気候、土壌、物質的資源、あるいは移民のためのテキサス便覧』(1871)
- ジェイコブ・デコードバ『移民と旅行者のためのテキサス・ガイドブック』(1856)
- ウィリアム・ケネディ『テキサス:その地理、博物誌、地形』(1844)
- メアリー・オースティン・ホリー『オースティン植民地への訪問中に書かれた一連の手紙におけるテキサスの歴史的、地理的、記述的観察』(1833)
- ジョセフ・E・フィールド『テキサス3年:テキサス革命に関する見解と主要な戦闘の解説を含む』(1836)
◆ネブラスカ
- チャールズ・D・ウィルバー『ネブラスカと北西部の大渓谷と平原』(1881)
- エドワード・エヴァレット・ヘイル『カンザスとネブラスカ:これらの準州の歴史、地理と自然の特徴、政治』(1854)
- ジェイムズ・M・ウールワース『1857年のネブラスカ』(1857)
- エドウィン・A・カーリー『ネブラスカ:その長所、資源、欠点』(1876)
- ジョン・F・モフェット『カンザスとネブラスカ準州:その地理、資源、入植の解説』(1855)
(マイクロ版タイトル:Travels in the West and Southwest)
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関連分野
- アメリカ史
- 19世紀研究
- 地域史