Papers of the Nixon Administration: The President’s Confidential and Subject Special Files, 1969-1974
本データベースは、ニクソン政権の機密性の高い文書を電子化して、提供するものです。収録文書は大統領、補佐官、政権全体の活動を克明に記録し、政権の政策の背景となる情報を提供します。
機密性の高いこれらの文書群が独立のファイルを形成するに至ったのは、大統領特別補佐官の助言に因ります。1970年、大統領特別補佐官のジョン・ブラウン(John R. Brown)は大統領文書の一連の処理手続きを調査した結果、機密性の高い文書群を集中的に保管する独立したファイルの設置を勧告しました。この勧告を受け、ニクソン政権は1972年に従来のホワイトハウス集中ファイルユニット(White House Central Files unit)から独立した特別ファイルユニット(Special Files Unit)を設置し、機密性の高い文書、個人のセンシティブな情報を含む文書、大統領の手書きを含む文書を新しいファイルに移動させました。機密性が高いとされた文書には、個人の捜査関係文書、職務の申請や推薦に関する文書、個人の名誉を毀損する文言を含む文書、個人、家族、個人の資産に関する文書、個人や遺族の攻撃に利用される恐れのある情報を含む文書、国家安全保障や外交関係に悪影響を与える情報、大統領に宛てられた極秘情報、即座に開示すれば将来大統領へ内密に情報提供することを躊躇わせる結果を招く情報、大統領の個人、家族、事業に関係する文書、安全保障に関する機密情報、大統領により特別に制限された文書、政治的に機密性の高い文書等が含まれました。
特別ファイルユニットは最大規模の機密ファイル(Confidential Files)の他、主題ファイル(Subject Files)、最高機密ファイル(Top Secret Files)、アルファ名ファイル(Alpha Name Files)、特大サイズの添付文書(Oversized Attachments)、機密ボックスリスト(Confidential Box Lists)で構成されています。特別ファイルユニットは、ニクソンが大統領を辞任し、フォードが大統領に就任してからもしばらく維持されましたが、1975年6月に廃止されました。
景気停滞と物価上昇が同時に起こるスタグフレーションが進行し、戦後の繁栄に陰りが見え始める中で、ドル防衛策としてドルと金の兌換を停止し、外交では、強烈な反共思想の持主ながら、ソ連との関係改善を模索し、米国大統領として初めて中国を訪問し、米中国交正常化への一歩を踏み出すことで、戦後米国史の中で大きな画期をなしたものの、ウォーターゲート事件により任期途中での辞任を余儀なくされたニクソン大統領の政権運営の核心が、機密文書を通して明らかになります。
(マイクロ版タイトル:The Papers of the Nixon Administration, 1969-1974, The White House Special Files)