The Republic of New Afrika: Independence, Reparations, and Citizenship
1960年代の公民権運動の時代、マルティン・ルーサー・キングに象徴される非暴力による人種間融和を目指す運動に飽き足らず、過激な手段で、時に暴力も辞さず、人種差別と闘う潮流が出てきました。この潮流に属する団体、組織としては、ブラックパンサー党、革命行動運動(Revolutionary Action Movement)、黒人解放軍(Black Liberation Army)等が挙げられ、これらはブラックパワー運動(Black Power Movement)と総称されつつも、組織としての独自の思想と行動を持ち、各々組織目標の追求に向けて活動を行なっていました。
本コレクションがテーマとする新アフリカ共和国もブラックパワー運動の潮流に属する組織です。新アフリカ共和国はアメリカ合衆国の中に黒人独立国家の建国を目指す運動です。新アフリカ共和国の構想は、マルコムX協会が1968年にデトロイトで開催した黒人民族主義者会議で、黒人民族自決を唱えたマルコムXの遺志を継いで、黒人独立国家の形成を目標に掲げたことに由来します。会議では共和国の臨時政府(Provisional Government)を樹立し、ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、ジョージア、サウスカロライナ、アーカンソー、テネシー、フロリダの南部諸州を新国家の領域とすること、奴隷制以来黒人が300年間にわたり受けた不正に対する賠償を要求することを決議しました。臨時政府大統領には会議招集者の一人、イマリ・アブバカリ・オバデレ(Imari Abubakari Obadele)が選出されました。新共和国は、協同経済、自給自足経済、政治的権利と出版の自由の制限、労働組合の禁止、兵役義務、複婚の合法化という独自の制度を追求しました。
新アフリカ共和国は連邦捜査局(FBI)から破壊活動団体と認定され、その対敵諜報プログラム(コインテブロ、COINTELPRO)のターゲットとされ、集会に警察の強制捜査が入った際は流血の事態にあることも少なくありませんでした。本コレクションは、FBIが諜報活動、情報提供者からの情報提供、監視活動、地元警察との協力の下に収集した新アフリカ共和国に関する文書を蒐集したものです。収録文書は、幹部の行動、組織内の権力闘争、好戦的傾向の高まり、他の黒人戦闘的団体との連携等、新アフリカ共和国の軌跡を克明に記録します。
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関連分野
- アメリカ史
- アフリカ系アメリカ人研究
- 公民権