Civil Rights and Social Activism in Alabama: The Papers of John LeFlore, 1926-1976 and Records of the Non-Partisan Voters League, 1956-1987
本コレクションはアラバマ州モビールを拠点として黒人の地位改善に生涯を捧げたジョン・ルフロアと独立無党派有権者連盟の文書を収録し、地方都市での公民権運動の実態を浮き彫りにするものです。
ジョン・ルフロアは1903年、アラバマ州モビールで生まれました。家族の貧困と父の死によりロースクールに進学する夢を断念したルフロアは、黒人には狭き門であったアラバマ州の公務員試験に合格し、郵便配達員になりました。しかし、人種隔離政策が続く南部では公務員といえども、黒人は不名誉な境遇に立たされました。
22歳の時、バスの車内で白人と口論になり、ルフロアは警察に逮捕されます。この事件に衝撃を受けたルフロアは黒人の地位改善に取り組むことを決意、全米黒人地位改善協会(NAACP)のモビール支部を再建し、事務局長として黒人の地位改善に生涯を捧げることになります。公民権運動の指導者としての精力的な活動を評価されたルフロアはモビールだけでなくメキシコ湾岸地域におけるNAACPの幹部として認められるようになりました。
1950年代は人種隔離を違憲とするブラウン判決が最高裁で出されるなど、公民権運動に追い風が吹きましたが、同時にこれに抵抗する動きも起こりました。学校での人種隔離を違憲とする訴訟を起こしていたNAACPに対して人種隔離派が訴訟を起こした際、NAACPが州外法人としての登録を行なっていなかったため、アラバマ州での法的活動が州司法長官により禁止されてしまいました。
これを受け、モビールのNAACPメンバーは独立無党派有権者連盟(Non-Partisan Voters League, NPVL)のメンバーとして再出発することになり、ルフロアはNPVLの社会福祉部長の地位に就きました。NPVLはNAACPと同様、人種隔離撤廃、有権者登録、職業差別撤廃等、黒人の地位改善を法廷闘争で勝ち取ります。
ルフロアはモビール市職員を退職後、連邦議会の上院議員選挙に立候補しますが落選します。1975年にはアラバマ州の下院議員に選出されるも、翌年心臓発作で帰らぬ人となりました。ルフロアの葬儀にはその功績を讃える多くの政治家や市民が参列しました。
本コレクションはルフロアの文書とNPVLの文書を収録し、黒人の地位改善に生涯を捧げた一人の公民権活動家の活動を通して、地方都市での公民権運動の実態を浮き彫りにするものです。収録文書はサウス・アラバマ大学の所蔵で、ルフロアが生前、寄贈した個人文書とNPVLの創設メンバーが寄贈した団体文書で構成されています。地方都市での公民権運動の事例研究に恰好の一次資料です。
(マイクロ版タイトル:Civil Rights and Social Activism in the South, Series 1: Civil Rights and Social Activism in Alabama. Part 1: The Papers of John LeFlore, 1926-1976 / Part 2: Records of the Non-Partisan Voters League, 1956-1987)
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