Federal Surveillance of the Partido Independentista Puertorriqueo
19世紀末の米西戦争後にスペイン領から米国領となったカリブ海の島プエルトリコは、1917年には米国の準州、1952年には米国の自治領(自由連合州)となり、現在に至っています。1930年代から1950年代にかけてプエルトリコでは独立運動が盛り上がりを見せました。1930年代、自由党(Partido Liberal)、国民党(Partido Nacionalista)、大衆民主党(Partido Popular Democrático, PPD)等、独立派の諸政党の中では大衆民主党が支持を拡大していました。しかし、大衆民主党は1940年代に独立の達成を断念し、経済重視の政策へ路線転換したため、独立を目指す党内反対派が離党し、独立を掲げる新党としてプエルトリコ独立党(Partido Independentista Puertorriqueño, PIP)を結党しました。独立党は創設2年後の1948年の選挙では10%を超える得票率を獲得、1952年の選挙では最大政党に続く20%近い得票率を獲得するまでに勢力を伸長しました。
連邦捜査局(FBI)は独立運動が盛り上がりを見せた1930年代からプエルトリコの独立運動を監視下に置き、1940年代に独立運動の一部が社会主義や共産主義への傾斜を強める中で、監視体制を強化しました。プエルトリコの独立運動が一般の米国人の関心を集めたのは、1950年に改修中のホワイトハウスの代わりにトルーマン大統領が居住していたブレアハウスを国民党員が強襲し、暗殺を試みた事件が発生した時です。これを契機にFBIのプエルトリコ独立運動に対する監視体制は全面的なものとなりました。
本コレクションは、FBIの監視記録、情報提供者の報告、サンフアン、ニューヨーク市、マイアミ、フィラデルフィア、ボルティモア、シカゴ、ボストン、ニューヘイヴン等のFBI支局からの書簡、開封された書簡の抜粋、司法省の文書(覚書、書簡、分析)、新聞記事の切抜き、押収したビラやチラシ、過激派諜報部(Extremist Intelligence Section)の報告、演説の抜粋、陸軍諜報・安全保障司令部(Army Intelligence and Security Command)から提供された文書等を収録します。知られざるプエルトリコの独立運動に捜査当局の視点から光を当てる文書群です。
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