Nazi Bank and Financial Institutions: U.S. Military Government Investigation Reports and Interrogations of Nazi Financiers, 1945-1949
第二次大戦末期、欧州戦域米国軍傘下のドイツ管理員会米国グループ(United States Group Control Council for Germany, USGCC)は戦争終結後のドイツ金融の非ナチ化と分権化を準備するために金融局(Finance Division)を設置しました。ドイツ降伏後、金融局はドイツ金融の管理に関する全権を委ねられ、ドイツ金融制度の全面的な改革を進めるとともに、押収資料や金融界の要人に対する尋問に基づく調査活動を実施しました。1948年3月に金融局は廃止され、新たに設置された金融顧問官室(Office of the Finance Adviser)が金融局の業務を継承しました。
本コレクションは米国公文書館が所蔵する「第二次大戦米国占領軍本部軍政庁金融顧問官室・金融局記録群(Records of United States Occupation Headquarters, World War II, Office of Military Government, U.S. Zone, Germany, OMGUS, Office of the Finance Adviser and the Finance Division, RG 260)」の登録番号(Entry)557「銀行調査記録群(Records Regarding Bank Investigations)」と登録番号558「ナチス銀行家尋問関係記録群(Records Relating to Interrogations of Nazi Financiers)」と登録番号574「情報と金融調査関係記録群(Records Regarding Intelligence and Financial Investigations)」を収録するものです。
「銀行調査記録群」はドイツの戦争遂行のための資金調達や金融機関に関する覚書、書簡、電信、報告、新聞記事等で構成され、ナチスの金、ナチスによるスイス系銀行の利用、コメルツ銀行、ドイツ銀行、ドイツ金割引銀行、ドレスナー銀行、ライヒ信用会社等のドイツ系銀行とスイス系銀行の関係に関する報告が収録されています。ユダヤ系資産をドイツ人に譲渡する経済のアーリア化、ドイツ国外での銀行業務、産業界との関係、企業清算に関する提案、ハンガリー系資産の返還等の情報も明らかにされています。
「ナチス銀行家尋問関係記録群」は報告書、口述資料、証拠書類、質問票等で構成されています。ベルンハルト・ベルクハウス、アロイス・アルツハイマー、アウグスト・フォン・フィンク、エドゥアルト・ヒルガルト、クルト・シュミット、フランツ・シュヴェーデ-コーブルク等の銀行家に加え、カルロウィッツ社やイリス社等のドイツ企業、さらには三菱商事、ベルリンの日本大使館、日本海軍事務所も尋問対象とされました。
「情報と金融調査関係記録群」は報告書、貸借対照表、金融情報収集に関する覚書等で構成され、農業協同組合に関する記録、ドイツ銀行の調査報告書、銀行員の非ナチ化に関する証拠書類と尋問報告、ナチス時代にライヒスバンク総裁と経済大臣を務めたヒャルマル・シャハトの尋問報告、イー・ゲー・ファルベンの業務に関する報告、第三帝国の閣僚記録を押収するゴールドカップ作戦の計画案、ドイツに占領された国々の財政状況に関する情報、ソ連占領地域の銀行に関する報告等が収録されています。
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