Papers of American Missionaries to Asia: The Ashmore Family in China, Thailand, and Japan, 1850-1937
本コレクションはオレゴン大学ナイト図書館の所蔵資料より、主に中国広東省汕頭で活躍したバプテスト系アメリカ人宣教師一家アッシュモア家の3世代にわたる書簡、日記、伝記、著述等の文書集を収録します。収録文書に関係するアッシュモア家の主要人物は、聖書を現地方言の潮州語に翻訳したウィリアム・アッシュモア・ジュニア(William Ashmore, Jr., 1851-1937)とその妻で教育者のリダ・スコット(Lida Scott Ashmore, 1852-1934)を筆頭に、父のウィリアム・アッシュモア・シニア(William Ashmore, Sr., 1824-1909)、リダの弟ザー・スコット(Zar Scott, 1848-1931)、娘のイーディス(Edith Ashmore Hensolt, 1882-1975)、息子のフランクです(Frank Ashmore, 1885-?)。
ウィリアム・アッシュモア・ジュニアはバプテスト教会の宣教師の子供として1851年にバンコクで生まれました。アメリカの大学で勉学を修めた後、教員生活を経てロチェスター神学校で神学を学び、名誉博士号を授与されました。リダ・スコットとの結婚を経て、父の布教活動の地である中国の汕頭地方で46年間にわたり宣教師として活動しました。ドイツ語、フランス語、ギリシア語、ラテン語、ヘブライ語と、若い頃から多言語を習得していたアッシュモアは布教活動のかたわら、汕頭地方の方言である潮州語に聖書を翻訳することを試み、30年の歳月をかけて完成させました。75歳の時、中国での布教活動から引退し米国に帰国、1937年、85歳でその生涯を閉じました。
《全体の構成》
シリーズI【ウィリアム・アッシュモア・ジュニア文書】
宣教師であるとともに翻訳家としても活躍したウィリアム・アッシュモア・ジュニアに関する文書を収録します。
サブシリーズAは1874年から1937年までの書簡を収録します。書簡の大半は娘のイーディス宛のものですが、初期の書簡(1874-1879)は友人のT・G・フィールド宛のもので、宣教師になる前のウィリアムを伝える資料です。1927年以降の書簡は家族や日常生活が主要な主題です。ウィリアムの書簡の索引はシリーズVIサブシリーズAに収録されています。ウィリアムの書簡には宣教師の生活や仕事、中国文化、20世紀初頭の中国の政情不安が言及されています。
サブシリーズBは日記(1873-74, 1907, 1935-1937)です。初期の日記は欧州遊学時代のものであるのに対して、晩年の日記は1日に1行程度の簡潔なものです。
サブシリーズCはイーディスの注釈によるウィリアムの伝記情報や書簡の抜粋、新聞切り抜きを含む他、ウィリアムの75歳、80歳の誕生日と死亡時に関する資料、具体的には翻訳に関するウィリアム自身の寸言、『汕頭聖書』のゲラ、訃報記事です。
サブシリーズDは宣教に関する冊子、新聞記事、卒業式での式辞、説教です。サブシリーズE(雑録)は卒業証書、パスポート、旅の記念品、サブシリーズF(『汕頭聖書』)は中国南部の方言に翻訳された聖書の刊本を収録します。
シリーズII【リダ・スコット・アッシュモア文書】
リダの書簡、日記、伝記情報、宣教関係の刊行物、スクラップブック、油彩画を収録します。
サブシリーズAは娘のイーディス、息子のフランク、弟のザー・スコットへの書簡を収録します。ウィリアムとリダの書簡の抜粋はリダの宣教師としての活動の他、赤十字での活動、中国の刺繍への関心をも示しています。
サブシリーズBは日記、イーディスの育児記録、最初の夫アルバートの日記、サブシリーズCは家系図など娘のイーディスによってまとめられたリダに関する伝記的覚書の他、リダの115ページにおよぶ自伝(リダの死後ウィリアムにより補筆された)を含みます。
サブシリーズDは刊行物、汕頭での宣教活動を記録したもの、サブシリーズEはスクラップブック、色彩豊かな中国紙と美術のコレクションで、色紙、包装紙、招待状、案内状、封筒、サブシリーズFは油彩画を収録します。
シリーズIII【イーディス・アッシュモア・ヘンソルト文書】
イーディスの書簡と日記を収録します。サブシリーズAは友人レスリー・コスモポラス(Leslie Kosmopopous)のイーディス宛書簡が多く、サブシリーズBは日記(1895, 1906-1907)です。
シリーズIV【ウィリアム・アッシュモア・シニア文書】
書簡、著述、公文書、賛美歌集、最初の妻の日記を含みます。サブシリーズAは書簡で、息子のウィリアムへの2通の書簡を含みます。サブシリーズBは「私の4つの聖書」と題した宗教に関する著述、「アッシュモア土地事件」と題した中国人との紛争の記録、サブシリーズCはウィリアムが汕頭の布教活動で使った讃美歌集2冊と楽譜1葉で、讃美歌集は汕頭地方の方言で書かれています。サブシリーズDは1850年から1851年にかけて中国南部とタイに旅行した時の日記、サシリーズEはマーサの油彩画です。
シリーズV(ザー・スコット文書)
リダの弟ザーが集めたスコット家に関する書簡で、大阪で布教活動を行なっていたジョウブ・スコットとヘレン・スコットからの書簡、第一次大戦に従軍したハロルド・スコットが前線から書いた書簡、ウィリアム・アッシュモア、ザー、そして実業家のケアリー・エマソンの間で交わされた書簡が収録されます。
シリーズVI(雑録)
書簡、新聞切り抜き、布教用のパンフレット、伝記情報、イーディスらにより集められた覚書で構成されます。
サブシリーズAは書簡で、1940年代と1950年代の布教関係の書簡は共産主義の勃興や政情不安といった同時代の状況を伝える資料として貴重です。フランク・アッシュモアの書簡は抜粋されたもので、イーディスが弟の伝記執筆のために編纂されたものです。
サブシリーズBは新聞記事の切抜きで、イーディスが編纂したものです。切抜き記事の多くは宣教師が活動した都市(大半は日本の都市)で集められたものです。水戸や根室や浪速のバプテスト教会、宣教師ラヴィニア・ミード(Lavinia Mead)が運営した大阪の幼稚園、タムソン夫妻が神戸に設立した善隣幼稚園等、日本各地でのバプテスト教会の布教活動や教育事業に関する資料が収録されています。バプテスト会系の雑誌 The Watchmen Examiner の幾つかの号も収録されています。
サブシリーズCはパンフレットで、キリスト教社会運動家の賀川豊彦、アーネスト・サトウの養女として育てられ、捜真女学校で教育に従事したエイミー・コーンズ(日本名山田千代)を紹介するパンフレットを含みます。サブシリーズDはアッシュモア家の伝記で、アッシュモア家の他の人々の伝記情報、ウィリアム父子により編纂された汕頭での布教活動のための小冊子です。
シリーズVII(写真)
様々な時期に撮影されたアッシュモア家の写真で、日本で布教活動を行なっていた時代に撮影された写真も含まれます。
シリーズVIII(特大収集物)
描画、写真の他、中国古来の孝子24人の逸話を集めた『二十四孝』を収録します。1883年の箱根、神戸、長崎、1900年の軽井沢の写真も含まれています。
シリーズIX(加工品)
ウェディング・ドレスを撮影したものです。
【オレゴン大学所蔵 アジアのアメリカ人宣教師文書集 シリーズ】
- アッシュモア家 1850-1937年
- アーサー・M・ガッタリーと中国YMCA
- オリバー夫妻と中国YMCA
- 福建省・台湾の宣教師たち 1889-1976年
他のコレクションもあわせてご検討ください。
さらに詳しく
関連分野
- 中国研究
- 宗教・哲学