Southern Negro Youth Congress and the Communist Party: Papers of James and Esther Cooper Jackson
本コレクションはアフリカ系アメリカ人のアメリカ共産党員で公民権活動家のジェイムズ・E・ジャクソンとエスター・クーパー・ジャクソン夫妻の文書を収録するものです。
ジェイムズ・ジャクソン(1914-2007)とエスター・ジャクソン(1917-2022)は二人とも公民権運動に関わった中産階級の家庭に生まれました。父親と同様にハワード大学で薬学を修めたジェイムズは同大学で政治学を教えていたアフリカ系アメリカ人のラルフ・バンチ(Ralph Bunche)と知己の間柄にあり、その縁で、スウェーデンの経済学者グナール・ミュルダール(Gunnar Myrdal)が『アメリカのジレンマ:黒人問題と現代民主主義』に結実する黒人問題の研究を行なっていた時、バンチとともにミュルダールの研究に協力しました。ジェイムズはこの時期にエスターと出会い、結婚します。
ジェイムズはエドワード・ストロングらとともに1937年に南部黒人青年会議(Southern Negro Youth Congress)を創設、前年に開催された全国黒人会議(National Negro Congress)で取り上げられた南部黒人の貧困と差別に取り組むために左翼の学生運動家がここに結集しました。1930年代の欧米では、ファシズムに対抗するため共産党を含む左派の党派が人民戦線という形で統一戦線を形成する動きが広がりましたが、南部黒人青年会議は人民戦線時代の申し子であり、共産党の影響力が際立っていました。ジェイムズとエスターは南部黒人青年会議で指導的立場に立ちます。
南部黒人青年会議が行なった活動は、労働者の組織化支援、黒人に対するリンチや警官の暴行への抗議活動、反人頭税キャンペーンから投票権、人種隔離禁止、雇用差別禁止の法制化を求めるキャンペーンまで、広範囲に及びました。また、定期刊行物『Cavalcade: The March of Southern Youth』を発行し、教育・文化活動の支援活動も行ないました。しかし、第二次大戦後の反共赤狩りの風潮が社会に広がる中、1948年に最後の大会を開催した後に解散、組織活動は短命に終わりました。とは言え、組織解散後もメンバーは1950年代と60年代の公民権運動において重要な役割を演じました。
本コレクションはニューヨーク大学タミメント図書館・ロバート・F・ワグナー労働アーカイブ(Tamiment Library & Robert F. Wagner Archives)が所蔵するジェイムズ・E・ジャクソンとエスター・クーパー・ジャクソン文書を収録するものです。収録文書はジェイムズとエスターの書簡、ジェイムズの講義用ノート、研究用ノート、演説原稿、著述(公刊・未公刊含む)、南部黒人青年会議の内部文書や印刷物、法律文書、共産党内部文書など多岐に及びます。書簡の宛名や差出人等の形で収録文書に取り上げられている人物は、アンジェラ・デイヴィス(Angela Davis)、W・E・B・デュボイス(W.E.B. Du Bois)、エドワード・ストロング(Edward Strong)、アリス・ウォーカー(Alice Walker)、パブロ・ネルーダ(Pablo Neruda)、ヴァージニア・デュル(Viriginia Durr)、ウィリアム・Z・フォスター(William Z. Foster,)、ガス・ホール(Gus Hall)、オリー・ハリントン(Ollie Harrington)、ピート・シーガー(Pete Seeger)、メアリー・ヘレン・ワシントン(Mary Helen Washington)、オジー・デイヴィス(Ossie Davis)、ルビー・ディー(Ruby Dee)らがいます。
さらに詳しく
関連分野
- アメリカ史
- アフリカ系アメリカ人研究
- 20世紀研究
- アメリカ史
- 公民権