America in Protest: Records of Anti-Vietnam War organizations - Vietnam Veterans Against the War
本コレクションは、反戦ベトナム帰還兵団体(Vietnam Veterans Against the War, VVAW)等、ベトナム反戦運動を推進した団体や個人に関する連邦捜査局(FBI)の監視記録を収録します。
反戦ベトナム帰還兵団体はベトナム帰還兵がニューヨークで平和行進をした1967年に誕生しました。創設時にわずか6名だった会員はその後増加し、3万人を超える大規模な団体に成長しました。FBIはVVAWを設立当初から監視下に置きました。
本コレクションはVVAWに関するFBIの報告書、押収したVVAWの報告書、ニュースレター、ポジションペーパー等を収録します。FBIの報告書は、VVAWの全国大会や運営大会での討議、選挙、決議から、デモやキャンペーン計画や他の反戦団体との連携まで、詳細に記録しており、VVAWの内部事情を明らかにする文書として貴重なものです。ポジションペーパーはVVAW内のメンバーが反戦運動に携わるすべての人々向けに発したオープンレターで、反戦運動における人種差別、性差別の告発、徴兵忌避者への恩赦の要求、平和主義を巡る論争等、様々なテーマが扱われていますが、中でも反帝国主義は絶えず論じられたテーマで、このテーマを論じた多くのポジションペーパーが収録されています。
FBIは大学キャンパスにも捜査網を張り巡らし、情報提供者を通じて反戦団体や個人に関する情報の収集に努めました。フロリダ州、ニューヨーク州、カリフォルニア州、テキサス州、オハイオ州ではVVAWの大学支部がFBIの監視対象に置かれました。大学で影響力のあった新左翼系の学生団体、民主社会を求める学生組織(Students for a Democratic Society, SDS)に間する監視記録も収録されています。また、1972年の大統領選の最中、共和党の全国大会が開催されていたマイアミでVVAWが行なったデモ行進とベトナム帰還兵の処遇改善とベトナム戦争からの即時撤退要求、ウォーターゲート事件で反戦運動を再び盛り上げり、全国各地で開催された抗議集会でのニクソン弾劾要求等も記録されています。憲法で保障された権利を侵害しているとして反戦運動に携わる帰還兵や学生や活動家が連邦政府を訴えた裁判関係の文書も収録されています。
ベトナム戦争が終結した1975年、VVAWは組織のアイデンティティを巡り大きな岐路に立たされました。ベトナム戦争が終結した今、解散すべきか、今後もあらゆる戦争に反対し続けるべきか、内部で激論が交わされました。VVAWは組織存続の道を選択し、ベトナム戦争が終結して半世紀近く経過した現在も、反戦団体として活動を継続しています。本コレクションは創設年の1967年からベトナム戦争が終結した1975年までの文書を収録します。
(マイクロ版タイトル:America in Protest: Records of Anti-Vietnam War Organizations, Part 1: Vietnam Veterans Against the War, 1968-1975)