George H. W. Bush and Foreign Affairs: The Middle East Peace Conference in Madrid
冷戦の終結は中東情勢に大きな変化をもたらしました。アメリカがイスラエルを支援し、ソ連がアラブ諸国やPLOを支援するという構図が解体しました。また、イラクのクウェート侵攻後の湾岸戦争では、サウジアラビアやエジプト等のアラブ諸国が米軍率いる多国籍軍に参加し、アメリカとアラブ諸国の関係が深まり、中東の地政学的状況が大きく変化しました。
このような状況の中で、米ソ首脳が協力して中東和平に臨むという冷戦時代には考えられなかった状況が生まれ、1991年10月30日、スペインのマドリードに米ソ両国首脳とイスラエル、レバノン、ヨルダン、シリア、パレスチナの代表が集まり、和平会議が開催されました。会議では、何よりも当事者が一堂に会したことが重視され、共同宣言が出されることはなく、国連安保理決議を尊重すること、イスラエルとアラブ各国が個別に二国間交渉を行なうことを確認するに止まりました。しかし、マドリード会議が契機となり、1993年にはイスラエルとPLOの間でオスロ合意を経て、クリントン政権が仲介する形でワシントンにてパレスチナ暫定自治宣言が調印されるにいたりました。
本コレクションは、マドリード会議をクライマックスとするブッシュ政権の中東和平政策に関係する文書を収録します。具体的には、ベイカー国務長官やリチャード・ハース大統領補佐官の中東訪問の記録、ブッシュ大統領からヨルダン国王やサウジアラビア国王への書簡、ブッシュ大統領とモロッコ国王やバーレーン首長との会談記録、アメリカ議会のユダヤ系議員からの大統領への書簡、アラブ系アメリカ人からの大統領補佐官への書簡、マドリード会議でのブッシュ大統領のスピーチ、マドリード会議開催中のブッシュ大統領と各国首脳との会談の記録等を収録します。
一般的に、アメリカの政策形成においては、行政府の省庁とともに、大統領補佐官を筆頭とする大統領に直属する大統領行政府(ホワイトハウス)の組織が大きな役割を果たしています。特に、20世紀末以降は、外交・安全保障の分野において大統領行政府の組織の影響力が一層強くなっていると言われています。そのため、アメリカの外交政策を分析するためには、国務省の文書だけでなく、国家安全保障会議(National Security Council)をはじめとする大統領行政府の文書にも目配りをする必要があります。
本コレクションの収録文書は、国家安全保障会議等の大統領府の組織に送付された文書、これらの組織から発出された文書が中心をなします。ブッシュ政権の中東和平政策の政策形成過程を大統領補佐官や国家安全保障会議を通して明らかにするものです。
なお、本コレクションに収録される文書は、情報公開制度に基づく開示請求により公開された文書です。
(マイクロ版タイトル:George H. W. Bush and Foreign Affairs: Part 4: The Middle East Peace Conference, Madrid, Spain)
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