Women, War and Society, 1914-1918
本コレクションは、史上初の総力戦である第一次大戦に当時の女性たちがどのように関与したかを記録するロンドンの帝国戦争博物館(Imperial War Museum)所蔵の一次資料「女性労働コレクション(The Women’s Work Collection)」を収録するものです。コレクションは、報告書、パンフレット、写真、雑誌、ポスター、書簡、会議議事録、日記、覚書、チラシ、統計、招待状、法令等を収録し、全文検索に対応しています。
帝国戦争博物館の前身の組織が1917年に創設されたとき、創設者たちは女性労働小委員会(Women’s Work Subcommittee)を立ち上げました。小委員会はアグネス・コンウェイ(Agnes Conway)とプリシラ・ノーマン(Priscilla Norman)がリードしました。ノーマンは1914年にフランスでの病院の立ち上げに関わった経験から、コンウェイはベルギーの負傷兵の看護に関わった経験から、二人とも戦時中に女性がなし得ることについて明確な考えを持っていました。小委員会は、戦時中の女性の活動を徹底して記録することを目標に掲げ、可能な限り多くの団体や個人から文書の入手に努めました。収集の対象は書簡や報告書やパンフレット等の文字資料に止まらず、写真、バッジ、エンブレム等の非文字資料にも及びました。女性が新たに携わるようになった領域は広範囲におよんだため、小委員会は雇用、救援作業、医療といった小部会を設け、小部会毎に資料の蒐集に当たりました。
本コレクションがカバーする範囲は広く、地域的にはベルギー、セルビア、チェコスロバキアから米国におよびます。主題では雇用に関する資料が多く、その他、軍需品、軍、慈善団体関係の文書が多数収録されています。特に、慈善団体関係の資料は、キリスト教女子青年会(Y.W.C.A.)、イギリス赤十字協会から、食糧、土地、救援基金、福祉関係の団体まで、多種多様の慈善団体の資料が収録されています。
戦争は今でも男性の経験であると見なされ、戦争とは軍人や兵士に関わることであるかのように戦争の歴史が書かれてきました。しかし、史上初の総力戦である第一次大戦とともに社会が変化したことを念頭に置くのであれば、戦時中に女性が演じた役割を無視することは第一次大戦に関する重要な経験を視野の外に置くことになり、そこで語られる歴史は不完全なものになることを免れません。本コレクションは、第一次大戦で女性が演じた役割に光を当てることで、これまで書かれてきた戦争の歴史の欠落部分を埋め、戦争を契機として社会、経済、文化が大きく変化する中で、これらの変化に当時の女性たちがどのように主体的に立ち向かったのか、その有様を克明に記録します。
(マイクロ版タイトル:Partly based on A Change in Attitude: Women, War and Society, 1914-1918. Originally published as a digital collection of the same name.)
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関連分野
- ジェンダー・女性研究
- 第一次世界大戦