The Times Digital Archive, 1785-2019
*一部紙面のOCRテキストを再処理ました!!
(詳しくは下記《一部紙面のOCR再処理について》をご覧ください。)
18世紀末の創刊以来、イギリスを代表する高級紙として絶大な信頼と影響力を誇る『タイムズ』(通称「ロンドン・タイムズ」)の1785年創刊から2019年まで全号をデジタル化したデータベースです。
創刊当初は数ある日刊紙の一つに過ぎなかった『タイムズ』は19世紀前半、進取の精神に富むオーナーと編集者の下、機械式印刷機や自前の特派員網といった新機軸を取り入れることで多くのスクープを手掛け、社会の中で発言力を増す新興ミドルクラスの世論を代弁する形で発行部数を伸ばしました。19世紀半ばには、その影響力は政権を崩壊させるほどの大きなものになり、他紙には到達できない特権的なポジションを新聞界で獲得するに至ります。
その後、19世紀後半から20世紀にかけて、安価なペニー新聞や大衆紙が登場すると、今度はゴシップ記事などで部数を伸ばす大衆紙とは一線を画した高級紙市場という新しい市場を見出し、国内ではエリート層向けのクオリティー・ペーパーとして世論を導き、国外では「世界のタイムズ」として、時論、公論に影響を及ぼしました。
『タイムズ』の傑出した特徴の一つとして、外国記事の充実が挙げられます。外国記事といえば外国の新聞記事を翻訳して掲載することに過ぎなかった19世紀初頭に『タイムズ』はすでに自社の海外通信網を備え、その情報収集能力を頼んで外国情報を照会する政府関係者もいたほどです。その後、『タイムズ』の海外特派員はイギリス国内外の世論形成に影響を及ぼし、大英帝国のメディアとしての権威と名声を高めることに貢献しました。『タイムズ』の国際記事は、現代の研究者が19世紀以降の国際政治の動向を知る上での情報の宝庫です。
また、『タイムズ』が創刊された18世紀後半、議会の演説を新聞で報道することに対する規制が緩和され、議会情報が新聞メディアの新しいコンテンツとして俄かに注目を集めます。自前の議会記者を擁していた『タイムズ』の速記録は、議会の現場の雰囲気をよく伝える記録としての価値をもっています。
そして論説を抜きに『タイムズ』を語ることはできません。国内外の時論、公論に対する『タイムズ』の影響力とは、その論説の影響力であり、時に政権の崩壊をもたらし、国際政治の動向を左右することもありました。『タイムズ』の論説は、近代以降のメディアと社会の関係史を跡付ける豊富なケーススタディーを提供します。
訃報欄の充実はイギリス高級紙が誇る特徴です。特に『タイムズ』の訃報記事は同紙の看板記事として読者の人気が高く、中には記事のレベルを超えて作品の域に達しているものもあり、書物として再刊されるものも少なくありません。過去の訃報記事は、現代の伝記情報からは欠落した事実を掘り起こす手がかりを提供するだけでなく、現代とは異なる視点の下に人物を捉えることを可能にする歴史資料です。『タイムズ』には1880年前後からほぼ毎日訃報記事が掲載され、本データベースに収録される訃報記事は約17万件に及びます。これら著名人の訃報記事に、一般人の結婚、子供の誕生、死亡に関する短報、政府、軍隊、大学、教会、財界の人事情報を加えれば、これだけで『タイムズ』は人物情報の宝庫です。
近代英語の形成にも『タイムズ』は大きな影響を及ぼしました。オックスフォード英語辞典(OED)収録用例の典拠数で『タイムズ』は全体の1.2%と、シェイクスピアやウォルター・スコットら英文学のビッグネームを抑えて堂々の1位となるなど、近現代の英語史研究にとっても欠くことができない資料です。
※姉妹紙の『サンデー・タイムズ』歴史アーカイブも合わせてご検討ください。
アーカイブ参考資料:Times 物語
(『タイムズ』の歴史にまつわる様々なエピソード集 )
《収録年代について》
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2015年~2019年分のコンテンツが新たに追加されました。2021年6月1日以降、本アーカイブを新たに購入される機関の収録年代は1785年~2019年となります。
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過去に1785年~2014年の収録年代で購入された機関は、2015年~2019年分の補遺コンテンツを追加購入することができます。
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2015年~2019年分のコンテンツはあくまで補遺としてのみ購入可能で、単独での販売はできません。
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1978年12月1日~1979年11月12日の期間は労使紛争で本紙の発行が停止されたため、収録されておりません。
《一部紙面のOCR再処理について》
2023年夏に『タイムズ』歴史アーカイブの一部の号につき、OCR(光学文字認識)の再処理を実施しました。最新のOCR技術によるアップグレードを求めるお客様のご要望にお応えした試みです。OCRの再処理を実施したのは1785年創刊号から1825年まで、および1900年から1920年までの全号です。これにより、『タイムズ』歴史アーカイブの検索可能性が一層拡大するとともに、より精度の高いOCRテキストをご利用いただくことができます。すでにデータベースにはOCRを再処理したデータが搭載されています。
《セス・ケイリー、『タイムズ』歴史アーカイブを語る》インタビュー動画を見る(日本語字幕あり)
Galeグローバル学術商品担当副社長セス・ケイリーが、タイムズをデジタル化することの意義、アーカイブ製作で苦労した点、デジタル人文学との関わり、OCRの精度、お気に入りの記事などについて語るインタビューです。聞き手:ワシントン大学サラ・ケッチリー博士(約21分、日本語字幕・チャプターあり)
(本インタビューは、ワシントン大学図書館情報学修士Capstone Projectsのツタンカーメン王墓発掘百周年プロジェクトのためにErika Bojnowskiさんが作成したものを許可を得て編集・掲載しているものです。Original video edited by Erika Bojnowski for the University of Washington MLIS Capstone project Tutankhamun Centenary 1922 - 2022. Reused with permission.)
《『タイムズ』歴史アーカイブ /『サンデー・タイムズ』歴史アーカイブ》ウェビナー録画を見る
※ 『タイムズ』歴史アーカイブおよび 『サンデー・タイムズ』歴史アーカイブ の2商品を紹介するウェビナーです。(約35分・字幕・チャプターあり、スライドはこちら)
《イギリスの日刊紙データベース(+1)を比較する》ウェビナー録画を見る
※『タイムズ』の他、『テレグラフ』、『デイリー・メール』、『ミラー』、『インディペンデント』、経済紙『フィナンシャル・タイムズ』、パリ発行の英字紙『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』の計7紙それぞれの特色と違いをご紹介します。(約40分・字幕・チャプターあり、スライドはこちら)
画面イメージ
ユーザーの声
タイムズを読むことによって、学生は視界を広げることができるのです。学生たちは、当時の新聞を見ることのできる事実そのものにまずは驚きます。その知的な驚きは、彼らの人生において必ずプラスになると私は思っています。
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TDA は、単に新聞のデータベースではなく、イギリスの百科事典と言えると思います。何でも思いついたイギリスに関する言葉をいれると、結果がでてきますよ。新聞の研究だけでなく、世界史、ヨーロッパ史、イギリス史、英国文化研究などにも利用できるデータベースですね。
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18世紀末からの経緯を考慮しつつ19世紀を研究している人であれば、まずはタイムズから調べるということになるでしょう。
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司馬遼太郎が言うように、大英帝国を象徴するメディアがタイムズとロイターです。
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