“Through the Camera Lens:” Moving Picture World and the Silent Cinema Era, 1907-1927
アメリカの初期映画時代を研究する上で、同時代の定期刊行物は必要不可欠な研究資料です。初期映画時代の研究者にとって幸いなことに、この時代には多くの定期刊行物が刊行され、その多くが現存しています。映画愛好家の雑誌、映画会社の機関誌、商業雑誌等、夥しい数の映画関係の定期刊行物が刊行されましたが、中でも筆頭に挙げられるのが週刊誌『ムービング・ピクチャー・ワールドMoving Picture World』です。
1907年3月9日に The Moving Picture World and View Photographer として創刊された同誌は、1927年12月31日まで20年にわたり刊行されました。1928年に『イグジビターズ・ヘラルド Exhibitor’s Herald』と合併し、『イグジビターズ・ヘラルド・アンド・ムービング・ピクチャー・ワールドExhibitors Herald and Moving Picture World』として再出発しました。
『ムービング・ピクチャー・ワールド』はルイス・リーヴス・ハリソン(Louis Reeves Harrison)、W・スティーヴン・ブッシュ(W. Stephen Bush)、ジョージ・ブレイスデル(George Blaisdell)ら批評家やコラムニストによる最新作のレビュー、最新の出来事、特集記事、映画産業のあらゆる側面に関するインタビュー記事を掲載し、新しいメディアとしての映画の魅力を伝える伝道師の役割を演じました。毎週掲載された大量の広告も研究資料としての価値が高く、映画産業と周辺の諸々の関連産業に関する百科事典的知識を提供します。初期の映画上映施設であるニッケルオデオン(nickelodeon)ブームと刊行期が重なった同誌が、映写、上映施設の音楽、広告に関するコラムを定期的に掲載している点も見逃せません。最盛期には映画界を動かすほどの実力を有した同誌は、今日でもアメリカの初期映画時代の研究資料として不朽の価値を持っています。
本コレクションは、1907年3月9日の創刊号から1927年12月31日の最終号まで収録します。
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