Nineteenth Century UK Periodicals, Part 1: Women's, Children's, Humour, and Leisure
大英図書館の豊富な所蔵資料より、19世紀イギリスで発行された選りすぐりの雑誌をデジタル化するデータベース・シリーズの第1部は、女性・児童などの新しい読者層向けの雑誌、そして新たに勃興した中間層に娯楽を提供した諷刺雑誌、スポーツ誌などの90タイトルを収録します。
19世紀イギリスで発行された雑誌の中で、とりわけ特徴的だったのは女性誌の流行です。ファッション雑誌、家事雑誌から女性の権利伸張を目指す政治的な雑誌まで、この時代の女性誌は隆盛しました。
また、政治・社会問題を多数のカリカチュアや戯詩とともに茶化してみせる諷刺雑誌はシリアスな報道新聞等と表裏一体の関係にあり、数々の社会矛盾に対する不満のはけ口となったばかりでなく、その改革にも一役を買いました。
識字率の上昇を背景に少年少女向けの雑誌も多数刊行されました。スリルを売り物にする雑誌から、教育的な志向をもった雑誌まで、多様な雑誌があったことは、児童に何を提供すべきかという今日的な問題がすでにこの時代のジャーナリズムのテーマだったことを示しています。
その他、大衆レベルでのスポーツの流行を反映して発行されたスポーツ娯楽誌などは、19 世紀イギリス文化の裾野の広がりを示しています。
《ウェビナー録画*を見る》
※ 19世紀英国雑誌コレクションの他に、英挿絵誌『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』歴史アーカイブおよび 英諷刺誌『パンチ』歴史アーカイブ の3商品を紹介するウェビナーです。(約27分、字幕・チャプターあり、スライドはこちら)
《主な収録雑誌》
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Alexandra Magazine and Woman's Social and Industrial Advocate(1864-65)イギリス初のフェミニスト系雑誌。English Woman's Journal の編集者ベシー・パークスが同誌より低価格の雑誌として発刊。
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Atalanta(1887-98) 少女・若い女性向け。文芸評論や日常生活全般にわたる専門家による助言を掲載。
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Le Belle Assemblée (1806-48)19世紀前半では最も重要な高級女性ファッション誌。ロンドン出版界の雄ジョン・ベルが発刊。ロンドン、パリのモードに加え、文化芸術、文芸、科学、上流社会のゴシップ記事を掲載。現代の女性誌の原型。
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Englishwoman's Domestic Magazine(1852-81)大衆女性誌の嚆矢。サミュエル・ビートン発行。イザベラ・ビートン夫人による料理コラムは後に『家政読本』として刊行され好評を博する。パリ・モードの紹介にとどまらず、付録の型紙でも有名。家政とファッション記事、読者参加型スタイル、女性解放へのリベラルなスタンスという定型は、20 世紀女性誌の先駆。
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Follet(1846-1900)同名のフランスのファッション誌の英語版。アパークラスの読者に最新パリ・モードを紹介。文学欄も充実。
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Judy, or the London Serio-Comic Journal(1867-1900)主として女性読者向けの諷刺画誌でPunch のライヴァル誌。アリー・スローパーというキャラクターでも有名。
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Monthly Packet of Evening Readings for Younger Members of the English Church(1851-99)若い女性に宗教の教えを広めるために創刊された。作家シャーロット・ヤングが編集に携わり、みずから作品を発表。
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Myra's Journal of Dress and Fashion(1875-1900)サミュエル・ビートン発行の女性誌のコラム担当者マティルダ・ブラウンが、ビートンの助力を得て創刊したファッション雑誌。一人称で店舗や商品を紹介するスタイルは記事広告のさきがけとなる。健康、美容、ファッションにかんするそのアドバイスはミドルクラスの女性から広く支持を集めた。フランス人ジュール・ダヴィッド原画の複製を含むファッション・プレートでも有名。
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The Woman at Home: Annie S. Swan's magazine(1893-1900)ミドルクラスの女性向け雑誌。記事の大半は連載小説。読者の投稿を取り上げ、助言を与えるアニー・スワンのコラムが有名。
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Boys of England(1866-1900)ヴィクトリア朝の少年誌の中では最も人気を得て、成功した雑誌の一つ。スリル満点の物語、迫力ある実話、活発な投書欄、目を引く表紙画という少年誌のフォーマットは、この雑誌に始まる。
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Boy's Own Magazine(1855-74) サミュエル・ビートン発行。初めて成功を収めた少年誌。啓蒙的な記事と少年の心を躍らせる物語の組み合わせが特徴。キリスト教の教えを基調とする。
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Boy's Own Paper(1879-1900)ヴィクトリア朝少年誌の代表。健全な少年誌が必要と感じた宗教叢書教会が発行。支配的なミドルクラスの価値を擁護。
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Girls' Own Paper(1880-1900)廉価大衆紙の有害な影響を削ぐため宗教叢書協会が発行。Boys' Own Paper の姉妹誌。19 世紀末の最も成功した少女誌。
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Our Young Folk's Weekly Budget(1871-97)少年少女雑誌。連載冒険小説を主要内容とする。スティーヴンスンの『宝島』も元々は本誌にペンネームで連載した小説。
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The Union Jack: Tales for British Boys( 1880-83)少年向け冒険小説、悪漢小説を掲載。同時代の帝国主義、好戦的気分を背景に、少年に男の理想と義務とは何かを刷り込む。ジュール・ベルヌ、ロバート・バランタインらの作家が寄稿。”Stories of Pluck”(パートII 収録)と同様、A. ハームズワース(デイリー・メールの創業者)が発行した少年向け雑誌。
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Figaro in London(1832-39)1830年代に成功した漫画週報。30年代の急進ジャーナリズムの一翼を担う。その読者の市場はPunch に受け継がれた。
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Fun(1861-1900)ストーリーをコマ形式で伝えるコミック・ストリップを初めて取り入れる。ヴィクトリア朝挿絵入り雑誌としてはPunch に次ぐ。
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Funny Folks(1874-94)イギリス初の漫画紙。若きA. ハームズワース(後のデイリー・メール創業者)も寄稿。20世紀イギリス漫画の原型を形作った。
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Punch(1841-1900)19世紀イギリス諷刺漫画雑誌の代表であるにとどまらず、ヴィクトリア朝の時代精神を知る上で最適の雑誌。
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