Daily Mail Historical Archive, 1896-2016
19世紀末、従来の高級紙と一線を画す平易・簡潔な報道スタイルで中間層の読者をつかみ、イギリスのジャーナリズムに革命的変化をもたらした保守系大衆紙『デイリー・メール』の創刊から2016年までを収録するデータベースです。
本紙に加え、戦間期の1923 年から1931 年まで大西洋の定期船に乗船する富裕層向けに船内で印刷・発行され、現在完全な形で入手するのが極めて困難である『大西洋版(Atlantic Edition)』も収録されています。
19世紀後半のイギリスでは『タイムズ』に代表される既存の日刊紙は社会のエリート層向けのもので、時に冗長で格式ばった文体は大衆にとっては読みにくく、疎遠な存在でした。新しい新聞の登場が待たれていたのです。
この時代の空気を読み取ったのがアルフレッド・ハームズワース、後のノースクリフ卿です。すでに雑誌の世界で新しい試みを展開していたハームズワースは日刊紙市場に参入、「忙しい人のための日刊紙」と銘打って、1896年『デイリー・メール』を創刊します。
中間層の一般読者も読みやすい平易で簡潔なスタイル、感情や好奇心に訴える内容という新しい新聞像を打ち立て、政治欄と社説あってこその日刊紙という通念にはおかまいなく、大衆が関心を持つコンテンツを提供しました。
早くから女性の読者を意識した紙面作りを展開していたのもひとつの特徴です。とはいえ、『デイリー・メール』が念頭に置いていたのは、家庭を守る伝統的な価値観を持った女性でした。女性ライターを起用し、住居、料理、裁縫の記事を掲載する一方で、女性参政権獲得のために闘う進歩的女性に対しては批判的な眼差しを注ぎました。
※日曜発行の姉妹紙『メール・オン・サンデー』歴史アーカイブも合わせてご検討ください。
※『デイリー・メール』と姉妹紙『メール・オン・サンデー』それぞれの特色をご紹介します。(約43分・字幕・チャプターあり、スライドはこちら)
《イギリスの日刊紙データベース(+1)を比較する》ウェビナー録画を見る
※『デイリー・メール』の他、『タイムズ』、『テレグラフ』、『ミラー』、『インディペンデント』、経済紙『フィナンシャル・タイムズ』、パリ発行の英字紙『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』の計7紙それぞれの特色と違いをご紹介します。(約40分・字幕・チャプターあり、スライドはこちら)
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デイリー・メールは家庭向けの記事が多いので、当時の女性の生活や関心がILN やパンチよりも見えてきます。中流階級より下の人々が中流階級を目指して、自分たちの生活をよりよくしたい場合に、生活スタイルの見本を提供したのがデイリー・メールです。
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「ミドルブラウからロウブラウを知るためにはデイリー・メールが必要になってきます。」
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